酒屋でも、おみやげ屋でもない。
霧島酒造が仕掛ける、新しいショップとは。
2026年1月にオープンした『KIRISHIMA GREENSHIP icoia(キリシマ グリーンシップ イコイア)』。植物園や屋上庭園などといった“いこいの場”が設けられ、都城市では初となるドライブスルーを併設したスターバックスもあることから、県内外から客足が途絶えない。
そんなicoiaの一角に、霧島酒造が手掛ける直営ショップがある。その名も『KIRISHIMA LIFE STORE ipomea(キリシマ ライフストア イポメア)』。
ipomeaが行うのは、霧島酒造からの新しいライフスタイル提案だ。
店名は、サツマイモの学名「Ipomoea batatas」が由来。商品を並べるテーブルにはさつまいも伝来の地とされている沖縄の琉球石灰岩を使用している。そんな芋焼酎の原料への敬意を体現したような空間で、ロゴ入りのエプロンを付けて出迎えてくれたのが、ipomeaを担当しているicoia課の後藤智美と市薗美奈子だ。
「ipomeaでは『焼酎をもっと自由に、もっと楽しく。』をコンセプトに、焼酎だけでなく、お酒のシーンが楽しくなるような割材、酒器、おつまみ、菓子類などの商品を取り扱っています」
そう語りながら、ショップを案内してくれる後藤。
店内の商品には多くのPOPが添えられている。これらには店舗スタッフやブレンダーが実際に試し、自信をもって提案する楽しみ方が書かれている。また、入口のスペースには、季節のテーマに合わせた焼酎と商品、そしてそれらを彩る花が添えられており、向かいにある植物園とも相まって、一層心地よさを感じる空間が作られている。
icoiaの一角をどのように活用するか。構想当時は、貸し会議室やビアバーなど業態に縛られない様々なアイデアがあったそうだ。視察では東京や京都にも赴き、その先で日本茶、日本酒、米など伝統的な産業のメーカーが、ライフスタイル提案も含めたショップ展開を行っている事例を知った。その手法を焼酎の世界でも取り入れられないか。ipomeaが目指す方向性が定まった。
『焼酎の里 霧島ファクトリーガーデン』内にある直営ショップとの差別化も課題のひとつだった。以前はファクトリーガーデン内のショップに務めていた市薗は、それぞれの店のコンセプトの違いについて語る。
「ファクトリーガーデンは、霧島酒造や都城とより深くつながる場所、ipomeaは焼酎文化や新たな楽しみ方を知る出会いの場所だと位置づけています」
『焼酎の里 霧島ファクトリーガーデン』には、工場見学なども含めた“霧島体験”を求めて訪れる人が多い。そのため、工場見学で試飲した焼酎や、地元宮崎のもの、お土産用のお菓子等が人気商品である。それに対しipomeaには、普段は霧島酒造になじみのない方がカフェを目的に訪れ、焼酎があるライフスタイルに触れる最初の接点になれる場所だと考えたのだ。
『焼酎の里 霧島ファクトリーガーデン』についてはこちら
コンセプトが決まり、店頭に並べる商品はどうするか。「ライフスタイル提案」と一口に言っても、それだけだと扱う商品の幅が広くなりすぎてしまう。広げれば広げるほど、ipomeaならではの価値は薄くなってしまう。商品の選定基準については何度も協議し、いくつもの企画書を積み上げながら、チーム全体で共通認識を育てていった。
そして、最終的に辿り着いた合言葉が『お酒を飲むときのテーブルの上、半径1m以内にあるもの』だ。
「例えば、お皿は置くべきかという議論がありました。確かにお皿もテーブル上にあっておかしくない。でもお酒を飲むシーンを想像したら、つまみ皿、豆皿に限ったほうがよりコンセプトに合う。みんなで創り上げた合言葉を基準に、何を置くべきで何を置かないべきかは大切に吟味しています」と後藤は語る。
また、一つひとつの商品も“進化系”をキーワードに、素材や製法だけでなくデザインも目を引くような商品を丁寧にセレクト。カフェを目的に訪れる若い年齢層の方へのアプローチも意識している。
「特に酒器は、一つひとつの商品が独自の世界観を持っています。その魅力を損なわず、なおかつ店舗のコンセプトとも調和するよう慎重に取り扱っています。ipomeaがどんな雰囲気の店舗なのか、どんなディスプレイを行うのか、工房の方へ丁寧にお伝えし、想いを共有した上でようやく店舗に並べています」
こだわりのために必要な手間や労力は惜しまない。
商品のなかでも、一番のこだわりは割材だ。霧島酒造の商品の味わいを担うブレンダーとともに、各銘柄に合う割材をセレクトしている。
「赤霧島をビネガーサイダーで割ってシャンパングラスで爽やかに。KIRISHIMA No.8をエルダーフラワーソーダで割ってより華やかに。そんな通常とは少し変わった飲み方を割材といっしょに提案することで、焼酎は自由にカスタムできる懐の深いお酒であることを発信していきたいです」
今後は、ipomeaオリジナル商品なども開発したいと語るふたり。また、商品の飲み比べといった比較体験など、お客様との新たなタッチポイントとしても活用できないか模索しているそうだ。
これまでにない新鮮さと、これまで以上の確かなこだわりが息づく『KIRISHIMA LIFE STORE ipomea』。
焼酎になじみがある人もない人も、コーヒーを片手に、ふらりと新しい暮らしのヒントを覗きにきていただきたい。
※20歳未満の方へのお酒に関する情報の共有はお控えください。